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お初です。


本日お預かりの、

シルバーというよりはグレーメタさんですね。


以前にもこの色は何台か見た事がありますが、

本来多いはずのこの色は塗り替えられている場合が多いため、いまではなかなかのレアカラーかもしれません。


オーナーさんは昨年手に入れられてそうですが、こんなのあるんですねー^ ^

というくらいの状態で走行僅か1.5万キロ。

ボディーもほぼ未再生の完璧かなというところ。


1500のUSキャブレターモデル。

東邦モータースのディーラー車です。


機関ももちろんフルノーマルの全部付き完全体。

発掘して販売されたショップさんの手によると思われる整備箇所なども非常に丁寧にされた感じですし、好感溢れる個体です。

初期モデルならこのまま保存してもいいくらいのタイムスリップ車だと思います。

つまり状態は素晴らしいです。


がしかし、、

ブログにて幾度となく書いたことですが、

せっかくなのでこのモデルのX1/9について少しお話しします。


オーナーさんとしては乗っていくつか気になる部分があるとの事なので、お預かりして早速チェックしていきますが、先ず私の初見では、

排ガス規制の一番厳しい時代のアメリカ仕様であること、しかもキャブレターモデルなのでそのシステムはそもそもかなり複雑怪奇です。


この個体、主だった不具合というものはほとんど無いと思われまして、つまりこれこそがX1/9のUSキャブレターモデルの新車というところでしょう。

機関はそんな感じですし、例えば電気系についても新車時から不具合は当たり前。

アメリカという巨大なマーケットを優先したことで大きなバンパーを待ち、排ガスシステムはもちろんですが、根本的なエンジンの仕様も、本国モデルと異なり、圧縮は低く、カムシャフトはバルブをあまり開かせないようなプロフィール、インテークとエキゾースト共にヘッドやマニホールドのポートも小さく、キャブレター口径は1300モデルよりも小さく、エキゾーストマニホールドも4-1に。USモデル専用のキャタライザーも厄介です。

それらによって、排気量に見合わないローパワーさは、やはり走行するに回らないエンジンを回して乗らざるを得なく、異常燃焼はエンジンへのダメージやその他様々な熱害を与えます。


しかしそんな事を越えてしまうくらい楽しく感じるボディーそのものの剛性や優秀すぎるサスペンション設計からくる高度なハンドリングを持つために、余計にエンジンに負担を与える乗り方にもなります。


FKRではチューニングやカスタムのイメージが強いかもしれませんが、やみくもにイジるわけではなく、本来のX1/9を解放してあげようと思うことやその少し先へという事がほとんどですし、今の時代を趣味という楽しみで一般道で車に乗るだけの用途がほとんどのオーナーさんですから、

速い遅いとか勝ち負けみたいなものより、ナンバー付きでオーナーさんさえ気持ち良く楽しめればそれが最高だと思っています。


X1/9は何らかの部分に手を入れられてきた個体がほとんどだと思いますが、それはつまり必然的にということで、保存目的以外ではオリジナルの状態では今の時代を普通に楽しく走れませんし、拘る必要は無いのかなと思います。


唯一1300の本国仕様の初期モデルであればそのままでも良いかなとも思いますが、残念ながら日本に正規で入ってきたのは1974年でアメリカからです。排ガス規制こそユルイ時代ですが、4分割バンパーは本国モデルとは異なる大きなオーバーライダーを持ち、エンジンついてはカムシャフトと圧縮比が異なります。


デビューである1972年は終わり頃だったため、1972年式はかなり少なく、主に初期モデルというのはアメリカ輸出前の1972と1973年を言います。

ヨーロッパには現在も素晴らしいレストレーションを施された初期モデルは多く存在します。

逆に高年式よりもそういった個体が多く残るのはやはりルーツである状態のオリジナル性が評価されるからだと言えますね。

もちろん販売されている個体も多くありますので、輸入についてご興味があればはお問合せください。


1500キャブレターモデルの話しに戻りますが、

カタログ上の最高出力ではやはりUSの60馬力台に対して本国モデルは80馬力と圧倒します。

しかし、これはこちらの経験上ですが、USモデルのエンジンの方が後のチューニングに際しての加工などの自由度が高く、最終的なエンジンの潜在能力としてはUSエンジンに軍配があるように思います。

つまりノーマルのUSエンジンはエンジンO/Hなどの機会においての手法により、かなりのフィーリングアップの余地があるわけで、これをオーナーさんの用途や好みに合わせてどのようなエンジンにするかというところがFKRでのエンジンO/Hです。


X1/9はここまでくると走行距離に関わらず、これから乗っていくのであればきちんとしたエンジンO/Hは必ず必要です。そのせっかくの機会に開けて掃除してそのまま組むのはちょっと勿体ないかなと思います。


何度もお話ししていますが、この時代の車は10年10万キロというライフは見込んで作られていません。特にX1/9は新車から5年以内に解体屋さんに行く車はほとんどだったようですし、そうでなくてもコンスタントにそのまま乗り続けることは困難だった車です。

ですので10年生きたとすれば人間で言う100才が妥当です。当然ながら全ての部品のライフは終えていますし、それが今や400才や500才になり、例え若い状態で奇跡のタイムスリップが出来たとしてもそこはさして変わらないでしょう。

現代までにおいてものすごい勢いで進化した自動車は、高性能さや便利さ、快適さや箇所の少なさは、素材の進化やデジタルの進化ももちろん、昔の車の教訓の元に成り立っています。

その現代の交通事情の中で昔の車をそのまま走らせるのはやはりちょっと酷なことです。


想像する以上に昔の車は今の車と違うものですが、それを説明するのは難しいですよね。

ネットなどで皆さんの車の年式の時代の道路や他の車種などの風景を見つけてみてください。写真自体もモノクロかカラーになったか、、くらいのところでしょうし、当時はドライバーの始業前点検も意味のある必要なものでしたし、夏場のオーバーヒートは当たり前でしたよね。

山道の下りではブレーキトラブル時の緊急避難箇所も。。


ですから、こういう車の世界に先ず飛び込めるかどうかが重要ですし、そこから体験して学んでいきながら付き合い方を見出していくものでもあります。

そんな事はおそらく興味のない人にとってはネガティブな事以外ありませんが、それでも乗る人に全ての個体は奇跡的な縁があるわけで、

皆さんの個体はひたすら待っていたことでしょう。


結局のところ、全ては手に入れてから始まるものです。

一台一台全て違う旧い車とそのオーナーさんのこれからをサポートできれば嬉しく思います。



さて、この奇跡の一台。

本当の意味での復活はこれからでしょう。

是非応援したいと思います。

何はともあれ、この状態で新しいオーナーさんに渡すまでのショップさんには頭が下がりますし、オーナーさんの情熱も同じです。


良い車です^ ^











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